相続放棄と限定承認の違い
法律上、被相続人が亡くなると、被相続人が有していた財産は、自動的に相続人に帰属するということとされています(民法896条)。
ただし、私たちの意思を無視して相続を強制されるということではありません。私たちには、その相続財産を実際に相続するのかどうかを選択することができます。
相続放棄や限定承認は、その選択肢のうちの一つです。
それぞれ、どのようなものなのでしょうか。
■相続放棄
相続放棄とは、文字通りに読めば、「相続を放棄すること」です。イメージとしてはこの通りですが、これを法的な観点から正確に理解しておくことで、実際に相続するかの選択に迫られた際に、適切な選択が可能になります。
相続放棄は、「初めから相続人とならなかった」とみなされるという効果を持つものです(939条)。相続放棄をすると、もはや相続人ではないので、遺産分割協議や調停に参加するなどということはありません。また、当然のことですが、遺産を受け取ることもできなくなります。
■限定承認
限定承認が何かを知るためには、まず「承認」の意味を確認する必要があります。
最初に述べましたが、法律上、被相続人が亡くなると、相続財産は自動的に相続人に帰属することになるという「一応」の状態が生じます。承認とは、この状態を「承認」するということです。
限定承認とは、この承認にある「限定」を付すということになります。具体的には、「相続によって得た財産の額を上限として、その範囲内で被相続人が負っていた債務等を支払うことを条件として」承認するということです。
これだけでは少しわかりにくいので、例を挙げて説明してみましょう。
被相続人Aが2000万円の借金を負っていたとしましょう。そして、遺産として1000万円の土地建物があったとします。この場合に限定承認をすると、相続によって得た1000万円を上限としてその範囲内で借金を返済することになります。そして、残った1000万円分の借金について相続人が引き継ぐことはありません。
■主な違い
相続放棄は財産や権利義務をすべて放棄するのに対し、限定承認は一応相続はしますが、借金の方が多い場合には超過部分について責任を負うことがないということになります。
現時点で判明している資料から、借金の方が多いことが判明している場合には、相続放棄をされる方が多いといえるでしょう。一方で、借金の方が多いのか、相続できるプラス財産の方が多いのかよくわからないという場合には、限定承認をするということが考えられます。
また、手続き面でも違いがあります。相続放棄は他の相続人が反対していても一人だけ行うことができますが、限定承認は相続人全員で手続きを行う必要があります。
マリトラスト税務法律事務所では、相続全般に関するご相談から、相続税、不動産相続、生前対策のご相談など、様々なご相談を承っております。
香川県宇多津町、坂出市、丸亀市、高松市、善通寺市、多度津町、琴平町、まんのう町、観音寺市、三豊市ほか香川県全域、また近隣の徳島県、愛媛県にお住まいの方の、法的なお悩み解決のお手伝いをさせていただきます。
お困りの際は、ぜひ当事務所までご連絡ください。
当事務所が提供する基礎知識/KNOWLEDGE
-
不動産相続に必要な書...
不動産相続に必要な書類と手続きをご紹介します。まず、個人の遺言書の有無を確認します。遺言書があった場合は、遺言書にしたがって遺産分割を行います。遺言書がない場合は、全ての相続人で話し合いをして、誰がどの遺産を受け取るのか […]
-
相続対策を生前から考...
相続が開始すると、相続人はさまざまな手続き・話し合いを経て法律関係を確定していかなければなりません。また、相続開始後は、本人はもちろん亡くなっているので、口を挟みたくても何も言うことができません。そこで、生前対策は、生前 […]
-
成年後見制度とは?
「成年後見制度」とは、認知症、精神障がいなどの理由で判断能力が不十分な場合に、本人の財産を守るために、支援することができる制度です。具体的には、不動産や預貯金などの管理をしたり、身の回りの介護サービスや介護施設へ入所する […]
-
借地権の相続|兄弟で...
被相続人が所有するマンションや戸建てなどが借地上に建っている場合、借地権の相続が発生します。借地権を共有すると、地主や共同相続人とトラブルが生じやすいです。ここでは、借地権を共有した際に、共同相続人間で生じうるトラブルに […]
-
遺産分割協議書の書き...
遺産分割協議が相続人全員の同意でまとまったら、次にその内容を文書として残す必要があります。この文書を遺産分割協議書といいます。遺産分割協議書にはさまざまな事項を記載する必要があります。 ■被相続人・相続人被相続 […]
-
相続税の配偶者控除と...
配偶者控除制度とは、亡くなった方(以下「被相続人」)から、その配偶者が遺産を相続する場合に、一定額までは相続税が課税されないという制度です。相続税は、被相続人から相続する財産の実際の遺産額に対して課税されますが、配偶者の […]
よく検索されるキーワード/KEYWORD
弁護士紹介/LAWYER
私は弁護士になる前、税務署職員として15年間、相続税の調査に従事し、100件を超える相続案件に接して参りました。その中で、遺産分割で揉めてしまい、多額の相続税を支払うことになってしまった方を数多く見てきました。
このことから、相続問題を真に解決するためには税務もわかる弁護士が必要だと痛感し、弁護士を目指しました。
また、相続税路線価の作成業務にも携わり、不動産鑑定士として不動産鑑定業に従事してきましたので、不動産の評価にも詳しいと自負しております。この経験を活かし、法務と税務のお悩みをワンストップで解決していきます。
弁護士 小松 真理(こまつ まり)-香川県弁護士会
-
- 主な経歴
-
- 香川県綾歌郡宇多津町生まれ
- 坂出市立東部中学校卒業
- 香川県立丸亀高等学校 卒業
- 奈良女子大学 文学部卒業
- 東京国税局入局
- 以後、東京国税局管内の税務署にて主に相続税を中心に税務行政に携わる。
- 不動産鑑定士 登録
- 司法修習(東京)
- マリトラスト税務法律事務所(香川県弁護士会登録) 開業
- マリトラスト不動産鑑定所 (公益社団法人香川県不動産鑑定士協会会員)開業
事務所概要/OFFICE
名称 | マリトラスト税務法律事務所 |
---|---|
代表弁護士 | 小松 真理(こまつ まり) |
所在地 | 〒769-0210 香川県綾歌郡宇多津町3565-1 |
電話番号/FAX番号 | TEL:0877-43-7682 / FAX:0877-43-7683 |
対応時間 | 平日9:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能) |