法定相続人以外に遺産相続できる?特別縁故者について解説
相続は「死亡」によって開始します(民法882条)。相続により、死亡した者(被相続人といいます)の「一切の権利義務」を相続人が承継します(民法896条)。
そして、法律に定められた相続人のことを、法定相続人といいます(民法887条1項・889条1項)。
もっとも、法定相続人以外の者に遺産を譲ることは可能です。
すなわち、遺言に基づいて法定相続人以外の者に対して財産の一部を譲渡したり、権利義務のすべてを譲り渡したりすることが可能です。前者を特定遺贈、後者を包括位増といいます。
そのほか、法定相続人以外の者に対して、遺産を譲り渡す制度として、特別縁故者に対する相続財産の分与があります。
特別縁故者の申出がない場合、遺産は国庫に帰属することになります。
このページでは、特別縁故者に対する相続財産の分与とはどのような制度か、特別縁故者とはどのような者のことをいうのかご紹介いたします。
◆特別縁故者に対する相続財産の分与とはどのような制度か
同制度は、「前条(958条の2、958条)の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる」(958条の3)ものです。
「前条の場合」とは、以下の場合をいいます。
すなわち、死亡時に相続人が明らかではない場合(951条)、家庭裁判所は検察官や利害関係人からの請求で相続財産の管理人を選任し(952条1項)、これを広告します(同条2項)。広告から2か月間相続人が明らかにならなかった場合、受遺者・相続債権者に対し、2か月以上の期間内に請求の申出をするべき広告を出します(957条1項)。
そして、同期間を満了した場合で、なお相続人が明らかでない場合、家庭裁判所は相続人に対し、6か月以上の期間内に権利を主張すべきとする広告を出します(958条)。
それでもなお、権利を主張する者がない場合が、「前条の場合」(958条の3)にあたります。
◆特別縁故者とはどのような者か
法は、特別縁故者を、①「被相続人と生計を同じくしていた者」、②「被相続人の療養看護に努めた者」、③「その他被相続人と特別の縁故があった者」としています。
①「被相続人と生計を同じくしていた者」
被相続人と同居し、生計を同じくしていた事実婚状態の者(内縁の配偶者)や、事実上の養子・養親、連れ子などが考えられます。
被相続人の子の配偶者が特別縁故者と認められる場合もあります。
②「被相続人の療養看護に努めた者」
被相続人の生前に、被相続人の身の回りのお世話や、療養看護を献身的に行っていた者をいいます。
被相続人との間柄に特に制限はありません。しかし、職業で看護を行ったものなど、
報酬を受けていた者は特別縁故者とは認められにくいです。
③「その他被相続人と特別の縁故があった者」
その他、上記①②と同程度の関係といえるほどに、特別密接な関係にあったと認められれば、特別縁故者となります。
生前、被相続人と特に親しい関係にあった者・生前、被相続人から「私の財産を与えたい」と言われていた者・被相続人から金銭の援助を受けていた者・師弟関係にあった者など、多種多様である。
裁判所が証拠から具体的に判断するため、いずれにおいても、客観的証拠の収集と、提出が重要といえます。
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弁護士紹介/LAWYER
私は弁護士になる前、税務署職員として15年間、相続税の調査に従事し、100件を超える相続案件に接して参りました。その中で、遺産分割で揉めてしまい、多額の相続税を支払うことになってしまった方を数多く見てきました。
このことから、相続問題を真に解決するためには税務もわかる弁護士が必要だと痛感し、弁護士を目指しました。
また、相続税路線価の作成業務にも携わり、不動産鑑定士として不動産鑑定業に従事してきましたので、不動産の評価にも詳しいと自負しております。この経験を活かし、法務と税務のお悩みをワンストップで解決していきます。
弁護士 小松 真理(こまつ まり)-香川県弁護士会
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- 主な経歴
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- 香川県綾歌郡宇多津町生まれ
- 坂出市立東部中学校卒業
- 香川県立丸亀高等学校 卒業
- 奈良女子大学 文学部卒業
- 東京国税局入局
- 以後、東京国税局管内の税務署にて主に相続税を中心に税務行政に携わる。
- 不動産鑑定士 登録
- 司法修習(東京)
- マリトラスト税務法律事務所(香川県弁護士会登録) 開業
- マリトラスト不動産鑑定所 (公益社団法人香川県不動産鑑定士協会会員)開業
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